女将の独り言・・・この夏のバイトくん♪パート2

今日はもう一人のこの夏のアルバイト学生、イケちゃんのことを書きます♪
10歳でイギリスへ渡り今も現地の大学に通っているイケ。
夏休みの帰国時間を利用してベルグへアルバイトにやってきました。
貴重な帰国中にこんな山の中にずっといていいのか?お母さん寂しがられていないか?そう問うと
「ある意味そこから逃げたくて来たのかもしれません」
そううつむき加減に答えました。
親の意向でたった10歳で一人海を渡った彼。最初の頃は寂しくて毎日泣いていたそうです。
そりゃそうでしょうよ、10歳ですもの。
「でもお母さんだってきっと寂しかったはずだよ?」そういう私に
「そうでしょうか・・・」と小さく首をかしげるイケ・・・
彼にしか分からないいろんな思いの中で10年頑張って生きてきたのでしょう。。。
人生初のアルバイトだという彼。そりゃもう・・・大変でした(笑)
お皿を両手に2枚持ったらもうガチガチ。腰が引けた姿で靴をベタベタと引きずり皿だけを見て歩く。
「腰を伸ばせ!足!引きずるな!目線前!」・・・「はい!」
何をやってもゆっくりで「遅い!体を動かせ!遅い遅い!」・・・「はい!」
そりゃもう毎日毎日、厳しく厳しく私に叱られました。私、体育会系ですもので(笑)
でも、この子、本当にかわいかったんです(*^_^*)
「お!早くなったじゃ?ん♪」なんて褒めますと「マジっすか。。。やった?♪」と
低い声で静かににんまりするんです(笑)
「優さん、見てくださいよ?。これ俺出来るようになったんですよ?」なんて
どうでもいいことを得意げに見せたりするんです(笑)
「なんだそれ。。。」なんて言いますと「あれ??マジか??(>_<)」と♪ 学校からの沢山の課題を抱えていた彼でした。 私は「本格的な繁忙期に入る前にすべての課題を終わらせなさい」という指令を出しました。 「君は学生。勉強をおろそかにして仕事だけして帰国するようなことになってはダメ! ちゃんとやるべきことを片づけてから思い切り働こう。お母さんに胸を張っていられる生活を送りなさい」と言い、 小さな和室を一つ勉強する部屋として提供しました。 彼は毎日英語だらけのモニターに向かい、約束を守り7月いっぱいですべての課題を終えました。 その間も休憩に合わせて食事の支度の手伝いに下りてくることを忘れなかった彼。 一緒に働く仲間にしてみれば人手が一人分減っただけ自分にかかる負担も増えるわけですが 彼のこの行動から「みんな勉強させてもらってありがとう」という感謝の気持ちが伝わり みんなも応援し支えてくれるという状況を生み出したのだと思います。 料理も人生初の彼。14人分の肉じゃがを作るよう指示したところ・・・ た?っぷりの油の中に大量の具材を一気に投入し、大鍋からは煙がモクモク!そして・・・ 館内中非常ベルが  ジリリリリリ?????ン!!! 社長はじめみんなが「火元を捜せ」と走り回り見つけた姿は、 そのモクモクの煙の中でまだ具材を炒め続けるイケのちっちゃい背中でした・・・(^^ゞ 帰る日、彼は言いました。 「僕、ベルグに来てよかったです。  ちょっと・・・予定より早く母のところへ行こうと思います」と。 この言葉は、私にとってこの夏最大のご褒美となりました♪ さて♪ 今度の冬はどんな子たちが来るのやら(^?^) 楽しみにしつつ。。。誰もいないベルグをちょいちょい片づけます♪ 優

女将の独り言・・・この夏のバイト君♪パート1

雨です・・・
栂池は今里山がちょうど紅葉のピークを迎え、カラフルな景色が広がっています。
朝晩は一ケタ台の気温になる日が訪れるようになりました。
毎朝5時半起床。キッチンに入れば目に飛び込んでくる朝日に輝く山々でしたが
いまやまだ夜明け前の真っ暗な空。
いよいよ長い冬が近づいてきました。。。
今日から久方ぶりの休館日。
スタッフもみんなおやすみで、誰も来ません。。
ひとりなので・・・ちょっとこの夏を振り返ってみようかな、、、なんて思いまして。
ベルグハウスにとって、そして女将である私にとって
夏と冬の繁忙期に来てくれる短期アルバイトのみんなとの出会いは
冒険でもあり、楽しみでもあり、自分自身の成長の機会でもあります。
この夏休み、男子学生のアルバイトが2人来てくれていました。
その人なつっこい性格と細やかな心配り、甘え上手さでみんなに可愛がられたまこちゃん♪
優さんはまこちゃんに大きい男になってほしくて
「まこ。明日から船窪小屋へ行ってきなさい」と突然の指令を出しました(^?^)
「え??小屋って携帯つながんないんですよね?電気ないんですよね?メールチェックできないじゃないっすか?。マジか?どうしよ?」・・・
「そんなもの、なくても死なないってことがわかるよ」冷やかに&愛情込めて先輩たちは笑いました♪
「僕、いつ帰ってきていいんですか?」何度も聞く彼を登山道入り口まで送って行き
「ここからは一人で行きなさい。最長2週間。それより前に“もう帰れ”と言われたら下りてこなきゃダメ。もう少しいてくれないかと言われるように頑張んなさい」と送り出しました。
頑張ったんだよね♪
小屋の中村先輩の指導のもと、また船窪小屋のおとうさんおかあさんの温かい見守りのもと
人生初のことばかり!
水汲みや草刈りや道普請のお手伝い、食材の山菜採り、冷蔵庫もレンジもない厨房での調理。
そして、囲炉裏の周りで交わされる人と人との言葉と気持ちのキャッチボール・・・
コミュニケーションには文字だけでは絶対に伝わらない、伝えられない「モノ」があるんだよね♪
もう少しここにいたいな。。。
そんな想像もしていなかった自分の思いを抱えながら下山してきたまこちゃんは
ちょっとたくましく、そしていい男になっていました(^^♪
まこちゃんのその素直さ、愛らしさ、今のまこちゃんをつくってくれたのは
まこちゃんのお父さんお母さんだよ♪
蛇口をひねれば水が出る。毎日お風呂に入れる。冷たいものがいつでも飲める。
そんな当たり前だと思っていることは、実は当たり前なんかじゃない。
人はみんなで生きているんだよね♪
親元離れて海外で勉強しているまこちゃん。
冬になったら大好きなボードし放題だヽ(^。^)ノ
またいつでもおかえり?♪
明日はもう一人の学生、池ちゃんのこと書きます(^^♪
女将 優さん