永遠のお別れ・・・

我が家には小さな長男坊がいました。
14歳になるミニチュアダックスフンドのベル、三代目です。

結婚して初めてのクリスマスイブ、朝から雪が深々と降る日でした。
「ちょっと出かけてくる」そう言って出かけたまま夕方になっても帰らない旦那様。携帯もつながらない。
古くからの常連の内川さんがいらしてて、
「おかしいな、宗ちゃんがイブに新妻置いて帰ってこないなんて・・・行かないで!ってどっかに隠してる古女房に泣きつかれてるんと違うか?(笑)」と脅します😁
夜7時も回ろうという頃「ごめんごめん!」と雪だらけになって玄関を入ってきたパパの腕の中に、
両手に納まってしまうほどの小さなワンちゃんが抱かれていました。

小さな命を失って泣いてばかりいた私のために、旦那様がこのかわいい長男坊を連れてきてくれました。

あれから14年・・・
ベルは人間の年でいったらもう相当なおじいちゃん。
ホルモンの病気で体の毛だけが抜け落ち、散歩しててもすぐに立ち止まり座り込んでしまうくらいでしたが、甘えん坊なかわいい子でした。

一昨日の夜、珍しく窓の外に向かってせつなそうに一吠えづつ鳴き続けていました。
「パパに会いたいのかな~」娘と息子はそう言いながらずいぶんなだめていました。
あきらめたように寝入るまでに大分時間を要しました。

翌日昼頃子供達と共に外出先から戻ると、吐血しぐったりとしたベルが一人横たわっていました💧
体は冷たくなり、もう虫の息です・・・

子供達にとって生まれて初めての『死との対面』、
生まれて初めての『永遠のお別れ』の体験、
生まれて初めての『心の中からあふれでて止まらない感情との遭遇』です。

必死に体をこすり「ベル~!起きて~!お願い、ベル~ベル~💧」二人とも大声で泣き叫んでいました。
そのうち息子が飾ってあったパパとママの写真を持ってきて
「ベル見て!ほらパパだよ。明日の夜帰ってくるから!それまで待ってよ。ベル~、起きて~」と、身動きひとつしないベルを抱え、泣きじゃくりながら必死に語りかけます。
普段感情をあまり露にしない娘も大声で泣き叫んでいました。
そのうち二人は少しずつ落ち着き「苦しかったねベル。ごめんね、まだ頑張れって言ってごめんね。今までありがとう。ベル、ありがとね」と・・・
小さなベルの体に両脇からしがみつくようにして二人で交互に言葉をかけていました。

EM-Xってご存知です?
EM菌は、腐敗させないで発酵させる、抗酸化力の強い菌で、中でもXは人が飲めるように作った無味無臭の飲料です。
私の体調を思い旦那様が買ってくれ、毎日一口づつ飲んでいるのですが、ふと思い出したんです。

昔瀕死の状態だった実家の猫に旦那様がこれを一口飲ませたところ、翌日寝床の篭からピョンと飛び出してきて大変驚いたことがありました。
旦那様は、お義母さんが水槽内に入れてあった石を苔だらけだからと漂白し、十分にすすがず戻したところ金魚がみんなぷか~んと浮かんできてしまったため、金魚のひれにこのEM-Xを一滴かけてみた、と。するとアップアップしてた金魚はクルンともとに戻り泳いでいってびっくりした、という体験を話してくれたことがありました。

ダメでもともと!
そう思って、ベルの口にスプーンでEM-Xを運んでみたんです。すると・・・
ぐったりしたまま口も目も半開きだったベル。ごっくんなんてできるわけもなくだら~と流れてました。
30分後もう一度トライ。すると、モグモグと口を動かしごっくんと飲みました。
だんだんと呼吸が大きくなり、ゆっくりまばたきをし、視線を動かすようになりました。
私はベルの隣に布団をしき、一晩中頭や首を撫でながら我が家の長男坊と二人で一緒に過ごしました。
夜には首を持ち上げ、よたよたと向きをかえたりもしました。私の手のひらに顎をのせ上目遣いにこちらを見つめます。
本当に明日の夜パパが帰るまでもつかもしれない!と思いました。
今朝方、ついうとうとっとしてしまいハッと目が覚めたら、こちらをじっと見つめるベルとしっかり目が合いました。
そして大きく「ふ~」と息を吐いたのです。
あ!もうダメだ!
その瞬間思いました。
朝6時半・・・ちょうど子供達が起きる時間です。
子供達を呼び側へ来させると、二人はゆっくり優しく撫でてやりながらたくさんありがとうを言いました。
そして7時を回った頃、ベルは静かに息を引き取りました・・・

子犬の頃、しょっちゅうお客様がフロントへ「ベルちゃんいますか?」と会いにきてくださいました。
その度に彼は全力でお客様を喜ばせていました。
生まれたての赤ちゃんが病院から帰って来たときは、しばらくすねて小さく丸まってしまいました。
雪の中の散歩では若くてかわいいお姉ちゃんを見つけるとわざとブルブル震えてみせてすり寄るのが上手でした。「かわい~い♪」となでてもらう術をちゃんと知っていました。だからアルバイトのお兄ちゃん達はいつも散歩に連れてってくれました(笑)

ベルは私たちの大切な家族でした。
今日まで可愛がってくださった多くの皆様、本当にありがとうございました。

命って、本当にはかないものですね。。。
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